1977年6月にOST「ハウス」の記事をアップしました。
]]>観客約1,000人がブルーとピンク色のゴダイゴうちわを手にし、ゴダイゴを待ち受ける中、タケ、ミッキー、浅野氏、スティーヴ、トミー、そして竹越かずゆきの6名が登場、現地の日本人コーラスグループや地元大学合唱部とも共演しながら、ヒット曲「ガンダーラ」「モンキー・マジック」など15曲を披露した。
ゴダイゴがバンコクに来たのは、前回は1980年にネパールのカトマンズに向かう際に経由地として寄った時以来だそうで、ステージではスクリーンに「ゴダイゴ・オン・シルクロード」の映像が映し出された。
日刊スポーツ、スポーツニッポン等の取材に対し、ミッキーは「海外コンサートは自分たちの十八番。日本とタイの交流に花を添えられて幸せ。来て良かった」と答えていた。
セットリストは以下の通り。
?GATEWAY TO THE DRAGON
?レイディ・ライディ
?君は恋のチェリー
?テイキング・オフ!
?ハピネス
?ステッピン・イントゥ・ユア・ワールド
?イメージス・オブ・ミステリー
?(カミング・トゥゲザー・イン)カトマンズ
?サンキュー・ベイビー
?LATELY(STEVIE WONDER)(Vo.トミー)
?ホーリー&ブライト
?モンキー・マジック
?ガンダーラ
?ビューティフル・ネーム
〜ENCORE〜
?銀河鉄道999
?セレブレイション
コンサートの詳細は以下の通り。
[会場]
The Royal Golden Jubilee(ニューペッブリー通り バンコク病院近く)
[日時]
2015年11月14日(土) 16:00開場 16:30開演
[主催]
ダイショータイランド
[運営]
クラブタイランド•タインチュ
[チケット]
A席2000B B席1600B
クラブタイランド会員は100Bのディスカウント
[特別協賛]
タイ日本製粉•全日空•永谷園
[協賛]
アサヒビール•アジアハーブアソシエーション•AEON•居酒屋寅次郎・オークスハート•KORG週刊ワイズ•高岡屋•ニッスイ・Bangkok Cold Storage Service•日本アクセス•ノースコープ漁連・ハウス食品•パナソニック•ヒカリ味噌•ホクレン通商•VOX•誠屋・山丁長谷川商店(五十音順)
[後援]
在タイ日本国大使館•
国際交流基金バンコク日本文化センター
タイ国日本人会
[協力]
バンコクグリークラブ
タイ国日本人会バンコク混声合唱団
タイ国日本人会女声コーラス
本事業の純益は、全てタイ赤十字その他公的機関を通じ、タイ社会の発展に役立てられた。
(高崎勇輝)
(Thanks to "G-Day" Members)
トゥモロウ/ディズニーランド組曲(Tomorrow)
編曲:ミッキー吉野
ディズニーの曲を断片的に組み合わせて構成されている。
この組曲には、ロング・バージョンとショート・バージョンが存在する。
ロング・ヴァージョン:
・ジッパ・ディー・ドゥー・ダー(Zip-A-Dee-Doo-Dah): R.Gilbert/A.Wrudel
・トゥモロウ(Tomorrow): T.Bahler/T.Bahler
・ファンタジー(Fantasy): T.Bahler/T.Bahler
・ミッキー・マウス・マーチ(Mickey Mouse March): J.Dodd/J.Dodd
・ビビディ・バビディ・ブー(Bi-Bi-Di Ba-Bi-Di Boo): J.Livingston/M.David-A.Hoffman
・星に願いを(When You WIsh Upon a Star): N.Washington/L.Harline
・君も飛べるよ(You Can Fly! You Can Fly! You Can Fly!): S.Cahn/S.Fain
ショート・ヴァージョン
・トゥモロウ(Tomorrow): T.Bahler/T.Bahler
83年4月(15日)の東京ディズニーランド(TDL)開園時に制作された。
リード・ヴォーカルはタケカワユキヒデ。
81年10月から85年10月まで「FMレコパル」誌に連載されていた「タケカワユキヒデのM.O.R.エッセイ」40話の編集部脚注で、この曲について言及がある。
「4月15日にオープンする日本のディズニーランド。その前夜祭が4月11日にあるのだが、クリエイティブ集団のゴダイゴは、当然出演する。受け持つのは”未来の国(トゥモローランド)コーナー。レーザー光線を駆使したSFムードの空間を盛り上げるべく、またまた新作を手がける。どんなニュー・サウンドができあがるか興味しんしんネ」となっている。
91年の「15TH ANNIVERSARY GODIEGO BOX」(ゴダイゴBOX)のブックレットにおいて、「GODIEGO LIVE FILE」での「組曲:新創世紀」の解説(中村俊夫・市川清師)で「レコード化されていないものでも、(略)『ディズニーランド組曲』('83年のディズニーランド開園を記念して制作)などがある」と言及されている。
最終的には前夜祭にはゴダイゴは出演せず、ほとんどタケカワのヴォーカルも生かされない形に編集されて(マント姿のシンガーが歌う形で)仕様された。
https://www.youtube.com/watch?v=aSTPaERz5II&t=3335s
(41:38 〜47:23)
ゴダイゴ版は、ロング・バージョンとショート・バージョンの2タイプが制作された。
ラジオ等の放送でもオンエアされていないが、ロング・バージョンは83年4月〜8月のコンサートのオープニングで使用された。
8月12日の新潟博でのコンサートまでは演奏されていることが確認出来ているが、翌月9月22日の大阪厚生年金大ホールではセットリストから外れている。
打ち込みメインのサウンドなので、テープを流して、後半バンドが被さっているのではないかと推測される(ステージでタケと浅野孝己が踊るのが「カワイイー」という歓声を呼んでいたそうである)が、あの記憶力の良いトミー・スナイダー氏さえライブで演奏したことを覚えていない。
制作時期は「フラワー」の頃なので、サウンドにも共通点が感じられる。
リズムは打ち込み(おそらく「フラワー」でも使用していたオーバーハイムのDMX)で、シンバル等をトミー・スナイダーが足しているらしい。
1.きらびやかなシンセ(色々な音色を混ぜてある)中心のイントロ
2.ヴォコーダーでの「ジッパ・ディー・ドゥー・ダー」
3.ウォームな歪みのギターのカッティングで「ファンタジー」/ファルセット・コーラスの「トゥモロウ」
4.シンセ(犬の声)で「ミッキー・マウス・マーチ」(5との掛け合い)
5.シンセでの「ビビディ・バビディ・ブー」(4との掛け合い)、ここで演奏が一旦ブレイクする。
6.ピアノのイントロの後、タケカワのヴォーカルでしっとりと「星に願いを」
7.一転してドラム入りの変拍子のリズムでコーラス「君も飛べるよ」(シンセがメロディを弾くブリッジを挟む)
8.シンセの華やかなファンファーレとギター・ベース・ドラムのユニゾンで変拍子のブリッジ
9.オーバードライブしたギター・ソロで「ファンタジー」/ファルセット・コーラスで「トゥモロウ」
10.タケカワのヴォーカルで「ファンタジー」
11.ファルセット・コーラスで「トゥモロウ」(ギターソロを挟む)
12.壮大なエンディング
ショート・バージョンは、タケカワのヴォーカルによる「トゥモロウ」をフィーチュアしたもの。
制作はミッキー主体で進められたものと思われるが、この音作りはタケカワの興味を引いたらしく、ファンクラブ会報 37号で、これもライヴのみで演奏された「Close Your Eyes and Follow Me」へのコメントでタケカワは「『クローズ・ユア...』はね。ディズニーランド(トゥモロ:ディズニーランド組曲)の時のミッキー(吉野)のアレンジが気に入りまして、(非常に新しい感じがしたのね)その方向にある曲をやりたいねということで作った曲です。いま聴いてみるとなんとも不思議な曲でね(笑)」語っている。
84年以降タケカワが傾倒したコンピューター・ミュージックへの興味はここら辺から始まっていたのかもしれない。
(高崎勇輝)
(Thanks to "G-Day" Members)
参考文献:
・「FMレコパル」誌掲載「タケカワユキヒデのM.O.R.エッセイ」40話
・「15TH ANNIVERSARY GODIEGO BOX」(ゴダイゴBOX) (日本コロムビア) 1991年 ブックレット
・「東京ディズニーランド15thAnniversary Box 15th years of magic」(ポニーキャニオン)
・「20th Century's Best 〜Tokyo Disneyland」(ウォルトディズニーレコード)
]]>
In You 勧進帳(IN YOU KANJINCHO)
作詞:奈良橋陽子
作曲:タケカワユキヒデ/ミッキー吉野 三世杵屋(きねや)正治郎(「延年の舞」部分)
編曲:ミッキー吉野
ゴダイゴのオリジナル。初期のステージで演奏されていた。
リード・ヴォーカルはタケカワユキヒデ。
NHKが制作した邦楽とクラシックやロックのクロスオーバーを特集した番組である「日本の響き」のために制作された。
翌月の東京音楽祭国内大会(TBS放映)でも再演されており、「Godiego TBS Dream Time Box」(ユニバーサルミュージック)に収録されている。
NHKの「日本の響き」はこれである。
https://www.youtube.com/watch?v=FP0piBqBUno
ゴダイゴと邦楽器のアンサンブルにより演奏される組曲である。
長唄(歌舞伎の演奏音楽)「勧進帳」から題材と音楽の一部(延年の舞・滝流し)にタケカワユキヒデがメロディを書き足して、ミッキー吉野がこれをアレンジした組曲。
「日本の響き」のオープニングで演奏されているのも同曲のショート・ヴァージョン(「延々の舞」の部分)である。
「勧進帳」をベースにした和楽器とロックバンドのクロスオーバーの部分とタケカワのヴォーカル部分が無理なく組み合わされており、壮大な音楽絵巻となっている。
序奏:まず尺八と鼓をフィーチュアした幻想的なイントロから、トミー・スナイダーのカウントで和楽器・ホーン・ゴダイゴが一斉に入って変拍子のリズムを打ち出す(タケカワはヴォコーダー)。
琵琶がジャランジャランジャラーンとかき鳴らしたあと、ミッキーの「ヨッ」というかけ声で全員でダダーンと3回決めて序奏が終わる。
続いてタケカワが「There was a man, I never knew〜)」と美しいメロディを唄い出す。
その後長唄の「勧進帳」の「延年の舞」をモチーフにしたパートがあり、続いてバンド・サウンドを強調した変拍子のリフからアップ・テンポのヴォーカル(「There was a time〜」)に入り、再び全楽器の音の波がクレッシェンドしてハイライトの「In You」になだれ込む。
そして「In You」が朗々と響き渡った後、最後はイントロ同様和楽器をメインにした幻想的なサウンドで静かに終わる。
「日本の響き」での歌詞は以下の通り(聞き取り)。
There was a man I never knew
To be strong to be true
When crisis came, he could act with fortitude
There was a man I never knew
To be strong to be true
When crisis came, he could act with fortitude
A man of magnitude
There was the time
When the strong rules the weak
And devotion was complete
Royalty was supreme
No question was asked
No question was asked
Believing with the faith so strong
You couldn't help but go along
Whether it was right or wrong
Now is it gone?
Where do we belong?
In you, in you
If you are gentle, you're just as hard
If you are at the end you are at the start
You are your lord and master
If you've got questions you also got answers
There is so much that you might know
There’s so much more (that) you don't know
You can wait or go
It's up to you to know
In you, lives the big wide world
(A) million of faceted world
In you, is you who hold the world
In you, lives the big wide world
(A) million of faceted world
In you, is you who hold the world
画面上は、英語詞ではなく日本語訳が表示されていた。
きみの中には広い世界がある
きみの中には様々な世界がある
きみの中には 世界を握るきみ自身がいる
同曲の演奏は非常に限られており、確認されている限りでは上記の2番組でしか完全演奏はされていない。
吉澤洋治によれば、同時期のライヴでその一部が演奏されたが、当然和楽器の面々は参加しないのでその部分は省略され、リアクションがあまりに寒いので演奏しなくなったそうである。
ミッキーによれば、スコアも残っていないそうで、「幻の名曲」となっていたが、2023年に入り、DVDボックスでの収録で公式に発表された。
ファンクラブ会報24号で
「TOPICS 東京音楽祭国内大会にゲスト出演 新しいサウンド「IN YOU 勧進帳」を披露
3月21日、ゴダイゴは東京音楽祭にゲストとして 出演、「IN YOU 勧進帳」を披露しました。 この曲は、2月放映されたNHKの特別番組 「日本の響き」で発表した曲です。長唄の「勧進帳」 を素材に、ゴダイゴが全く新しいサウンドをつくりだし た野心作。 作曲はタケ、アレンジはミッキー、演奏はゴダイゴと ホーンズに三味線3本、琵琶、尺八、鼓を加えた全く 新しい構成。前編ゴダイゴと邦楽セクションのかけ合い で、洋楽と邦楽の融合が、不思議な世界を作り出しています。 昨年アジアやアフリカの民族音楽に触れてひとまわり 大きくなったゴダイゴが、今度は日本の伝統的な音楽に 挑戦さらに前進したことを示す新境地といえるでしょう。 さすがはゴダイゴですね。」
という記述がある。
The Student Times(ジャパンタイムズ社)の81年2月20日号に掲載されたタケと奈良橋陽子の連載対談「Take & Yoko Chattin' About Music」第100回はこの曲の話がテーマになっており、曲後半の部分が「In You」として引用されている。
尚、「In You 勧進帳」の元になった長唄「勧進帳」の解説を少し。
(概要)
長唄とは、平たく言うと歌舞伎の音楽パートである。
歌舞伎の要所要所に入る音楽のうち、音楽的に優れているものは芝居を離れて演奏会ピースとして演奏されるらしい。
この「勧進帳」は歌舞伎自体も名作として知られているが、音楽としても演奏会にてしばしば上演される。
ストーリー・楽曲ともに変化に富んで非常にドラマチックなところ、また邦楽は同じような曲・節回しがありがちなのに対し、オリジナリティーが高く、なおかつ良くできた曲であるため飽きが来ないところにあるのではないかと思われる。
(歌舞伎の「勧進帳」)
初演:天保十一(1840)年三月、江戸河原崎座で七世 市川海老蔵(後の七世 市川団十郎)により初演される。
作詞:三世並木五瓶(ごへい) 作曲:四世杵屋(きねや)六三郎(杵屋六翁) 振付:西川扇蔵。
七世 市川団十郎が「市川家のお家芸」として制定した「歌舞伎狂言組十八番」(俗に歌舞伎十八番と呼ばれる)の一つである。
筋は能の「安宅(あたか)」から取られている。
『時は源平の頃、壇ノ浦にて首尾よく平家を討ち果たしたものの、その後兄頼朝と不和になった源義経は奥州の藤原氏を頼り落ちのびることになる。
義経一行は義経以下武蔵坊弁慶、四天王(亀井六郎、片岡八郎、駿河次郎、常陸坊海尊)の総勢6名。
義経を除く5名は山伏に身をやつし、義経は強力(ごうりき:荷物もち)に姿を変えて北陸道を奥州へ進む。
一行が金沢近くの安宅の関に差し掛かった時には、既に義経主従が山伏姿であることが知られていたため、 「東大寺の勧進僧」と名乗る一行は関守の富樫左衛門に見咎められる。
富樫は山伏の首領格である弁慶に対し、勧進帳を読めと命じる。勧進帳とは「寺院の堂塔の建立などに要する金品・材料の寄付募集の趣意を記し、巻物などにしたもの。僧や山伏が民衆から寄付を集める時に読み聞かせる(三省堂 大辞林)」であり、もし弁慶らが本当に東大寺の勧進僧であれば当然持っているはずのものであるが、もちろんそんなものは持っていない。そこで弁慶は持ち合わせの巻物を広げ、即興で勧進の趣旨を唱えるのである。
その後、山伏のいわれや扮装、心得、そして秘術を事細かに尋ねる「山伏問答」も無事乗り切った一行は通ることを許されるが、最後に強力に扮した義経が呼び止められる。絶体絶命の危機に瀕し、弁慶はお前のせいで疑われたと義経を金剛杖で打ち据え、「この強力を置いていくので心ゆくまで調べてくれ」と開き直る。
富樫はこの時点ではもう強力が義経であることを見抜いているが、それまでのやり取りでの弁慶の器や、主君たる義経を杖で殴打するというその機転、気迫に胸を打たれ、強力(義経)もそのまま通すことにする。
そればかりか、疑った詫びとして一行に酒肴を振舞う。
これは義経主従に対する別れの杯であるという富樫の好意を汲み、弁慶は杯を乾し、「延年の舞」を舞う。
そして山伏達は奥州を目指して進んでいく。』
という話である。
能の「安宅」は、弁慶の迫力に富樫が圧倒されて一行を通してしまうものだが、歌舞伎の方では武蔵坊弁慶の機転と富樫左衛門の情を柱にした男のドラマとして構築されている。
ある人はこれを「人情劇」と捉え、ある人は「音楽劇」と捉えている。
それぞれの見方が出来る位に人物描写や音楽が優れているということなのだろう。
(長唄としての「勧進帳」)
この音楽は元来一中節にあった「安宅道行」と「安宅勧進帳」がもとになっている。
一中節の方は文化年間(19世紀初頭)に山彦新次郎(後の初代 菅野序遊)が銭湯に入った折、山伏の語る祭文(説教祭文)を耳にして興味を覚え、作ったものだと言われている。
長唄の方はこの影響を受け、その後の改訂を経て明治後期に現在の形となったらしい。
特に後半に使用される「延年の舞」は九世 市川団十郎が上演の折、三世 杵屋(きねや)正治郎が名古屋で作曲したといわれている。
長唄の編成は(フルオーケストラの場合)、唄、三味線、笛、小鼓、大鼓、太鼓が普通のあり方で、「勧進帳」もこの構成で演奏される。
https://www.youtube.com/watch?v=W35BrAdsG7g
https://www.youtube.com/watch?v=yrwpyFc954o
「In You 勧進帳」では、長唄の後半の「延年の舞」の部分が引用されている。
富樫に勧められて飲んだ酒に酔った弁慶が富樫のすすめで舞う、終盤の見せ場である。
延年の舞というのは、昔山伏の舞う舞であったそうで、スピーディーで力強い三味線の演奏部分がそれにあたる。
長唄の場合でもスピードはゴダイゴ版とほぼ同じくらいで演奏されている。
長唄ではもちろん唄がついているのだが、ここでは間奏に当たる合方部分のみが使われている。
邦楽には掛合いという手法があり、これは一つの舞踊曲の中で異種の唄がパートごとに分担し、交互に唄うことによって変化と面白みを生み出すものである。清元と義太夫の掛合いとか、長唄・常磐津・義太夫の三方掛合いなどが挙げられる。
「In You 勧進帳」の場合も長唄部分を入れて、ゴダイゴのパートと掛合いにすることが不可能な訳では無かったと思われるが、そこまではやらなかった。
長唄の編成は通常、唄・三味線・笛・小鼓・大鼓・太鼓となっているが、「In You 勧進帳」ではここから三味線と大鼓だけを残し、尺八と琵琶を加えた構成になっている。これは邦楽としては通常ではあり得ない形だそうである。
演奏者の顔ぶれは以下の通り。
ゴダイゴ
・タケカワ ユキヒデ: Vocal, Keyboards, Vocorder
・ミッキー吉野: Keyboards, Vocal
・浅野孝已: Guiters, Vocal
・吉澤洋治: Bass, Vocal
・トミー・スナイダー: Drums, Vocal
ゴダイゴ・ホーンズが
・岸本 博: Trumpet
・井口 秀夫: Trombone
・松風 鉱一: Sax
邦楽器奏者
・芳村伊十七: 三味線
・芳村伊十一郎: 三味線
・杵屋勝国: 三味線
・村岡実: 尺八
・平山万佐子: 琵琶
・藤舎華鳳: 大鼓
(高崎勇輝)
(Thanks to "STUDIO-G" Members)
参考文献:
・ゴダイゴ・ファンクラブ会報 24号
・The Student Times(ジャパンタイムズ社)81年2月20日号
]]>1980年10月11日(土)
ロサンゼルスのシヴィック・センターで開催された市制200周年記念イベント「第3回ストリート・シーン」にゴダイゴが参加したもの。共演は渡辺香津美、ジョニー・ルイス & チャー、WAR、ブラッド・スウェット & ティアーズ、チャック・ベリー等だった。
本イベントにはリー・オスカーやWARのマネジメントをしていたスティーヴ・ゴールドが絡んでおり、ミラージュ・ボウル前夜祭でゴダイゴがWARと共演した縁で呼ばれたらしい。
ストリート・シーン音楽祭自体は当時毎年行われていたものだが、ロサンゼルス市が1984年9月4日に市制200周年(Bicentennial Year Celebration)を迎えるに当たり、キックオフ・イベントと位置付けられたものである。
音楽祭は朝11時から夜中まで一日中やっており、会場のシヴィック・センターの周りに大小のステージがいくつも設置され、入れ替わり立ち代り演奏していた。 メイン・ステージはロックとジャズの一つずつがあり、当時ゴダイゴは後述の通りアメリカでレコードをリリースする話があったためメインのステージをあてがわれた。
ステージでゴダイゴを紹介したのは当時のロス市長トム・ブラッドリーだった。 ゴダイゴが登場したのは夜になってからで、本番直前になってキーボードのアンプが壊れる等機械関係のトラブルが続出して開演が遅れ、結局曲数を半分に減らして演奏することになった。観衆は最初3,000人位だったが次第に膨れ上がり、最後は5,000人位になった。
吉澤洋治加入後であったが、富倉安生がベースで洋治はギターを担当したので、タケカワユキヒデ(vo)/ミッキー吉野(key)/浅野孝已(g)/Tommy Snyder(d)/吉澤洋治(g)/富倉安生(b)にゴダイゴ・ホーンズ(岸本博/井口秀夫/松風紘一)というメンバーでの演奏だった。
洋治はファンクラブ会報33号のデッド・エンド特集で、「時の落とし子とかサムの息子、パニック、血塗られた街なんかはアメリカに行く時練習しました」と書いているが、「時の落とし子」というのはおそらく間違いだと思われる(ストリングスのみの伴奏なので)。
ファンクラブ会報21号では浅野氏が「浅野孝巳のワールドツアーレポート(前編)」として、この時の模様をレポートしている。 10/7に到着、10/8〜10の3日間ファーラウト・レコードのスタジオ(倉庫)でリハーサルをし、併せてパーティやレセプションが行われた(この時の写真も会報21号に載せられている)。浅野氏はグレコのブギー、洋治はグレコのGO-IIIを弾いている。
ファーラウト・レコードのスタジオ(倉庫)でリハーサル
中央がブラッドリー市長で、その隣がスティーヴ・ゴールド
81年3月放映の「第10回東京国際音楽祭国内大会」(TBS)で、このコンサートのスライドが少しだけ映る。
ステージ(タイムズ・プラザ)での演奏。
この頃、スティーヴ・ゴールドが社長をしていたLAXレコードと日本コロムビアが提携して、ゴダイゴのレコードをアメリカで発売するという話がかなり具体的に進行しており、その布石をも兼ねたゴダイゴのメイン・イベンターとしての起用だったが、レコード発売は残念ながら実現に至らなかった。
ミッキー吉野のサイトのQ&Aでの証言によれば、「ストリート・シーンでは,変わったとこで“サムの息子”を演奏したのを覚えています。後は“Silk&Spice”などのアルバム“Kathmandu”から数曲。“Our Decade”から数曲。そして“威風堂々”などを中心に組みました。従来のヒット曲は演奏しなかったと思います。」となっている。
読売新聞のライブレポでは、「(略)ゴダイゴは『はるかな旅へ』から「クロス・アップス』『カトマンドゥ』、そして『威風堂々』まで九曲すべて英語で約一時間にわたって聞かせたが、『楽しめる音楽なら何でも』というロス市民にしっかりと受け、約五千人の観客は最後まで立ち去ろうとしなかった」とある。
ファンクラブ会報27号の「メンバーズ・ベスト」での吉澤洋治のコメントによれば、「シルク&スパイス」を演奏して見事に間違えたらしい。浅野孝己も21号のレポで「本番前からわれわれはやや興奮気味だった。金八(吉澤)などは明らかにあがっていた様だ」と語っている。
読売新聞の取材に対しミッキーとタケカワは「パワフルであるか、メロディアスであるか、どちらかの魅力があることがアメリカ人に受け入れられるコツだ。だからそういう選曲をしてみた。反応はまぁまぁ。アメリカ第一歩としてはまず成功というところかな」と語っている。
(高崎勇輝)
(Thanks to "G-Day" Members)
参考文献:
・LOS ANGELES TIMES紙
・Billboard Magazine 80/9/27 80/11/15
・読売新聞夕刊 80/10/20
・ゴダイゴ・ファンクラブ会報 21・27・33号
]]>
作詞:奈良橋陽子・山川啓介
作曲:タケカワユキヒデ
ゴダイゴのオリジナル。 リード・ヴォーカルはタケカワユキヒデ。
80年1月2〜9日に西武デパート池袋店で開かれたゴダイゴ・フェア(Have a Good Day in Godiego Land)のテーマ曲として制作された。
レコードとしては、80年5月リリースのシングル「ポートピア」のB面に収録されている。
https://www.youtube.com/watch?v=3Cgp9EojkFo
これは編集CD「B面コレクション」にも当然収められている。
英語版は当初カセットのみで発売されたベスト盤「ゴダイゴ・ヒット・スペシャル」やCD初期にリリースされたベスト「Wデラックス」に収録されていた(オリジナルのアルバム・シングルでは未発売)。
英語版はシングル、イベント等日本語版ありきで制作された曲にありがちな、1番と2番で全く同じ歌詞を歌っている。
https://www.youtube.com/watch?v=tw57KbsbdFI
91年リリースのゴダイゴBOXにオリジナルと英語版の両方が収録された。
ブラスとエレピをフィーチュアしたハッピー・チューン。
ソロには鍵盤ハーモニカも入っている。
79年の録音なので、ベースはスティーヴ・フォックスである。
80年のNHKホールやポートピア開幕前コンサートではアンコールで演奏されている。ライブでは更にビッグ・バンド・ジャズ的なノリが強くなっている。80年10月6日(月)〜10日(金)に東京12チャンネル(現:テレビ東京)で放送された「ステレオ音楽館」でのスタジオ・ライヴでは、エンディングでミッキー吉野のジャジーなピアノ・ソロが聞ける。
とてもカッコ良いのだが、いかんせん長すぎてタケカワが爆笑してしまい、ミッキーも笑って「ちょっと長すぎるな。いいな、でも終わろう」といって切り上げている。
https://www.youtube.com/watch?v=-_lro-a9KWQ
ライヴでは、スタジオ録音版とは歌詞を変えている。
スタジオ録音版では、サビの歌詞が"Good day, Good day Ma'm, Good day Miss and Mr.!" だが、ライブではこれを"Good Day, Good day people, Good day brothers and sisters"としている。
この歌詞は、トミー・スナイダーにはかなり不思議だったらしく、後にタケカワがT-time(ファンクラブ会報)の連載記事でこの曲を取り上げた際、トミーが当時 「この歌、ヘンだよー! なんで ”いらっしゃーい、いらっしゃーい!”って歌ってるの!?」と グチってたという話を紹介していた。
オリジナルと英語版は、演奏は基本同じだが、編集が異なる。
顕著なのは、1コーラス目が終わって間奏に入る前のブリッジの部分のピアノがそっくり抜けている事。 その他、エレピやシンセを始め楽器の音のバランスがかなり違う。
(高崎勇輝)
]]>
1979年11月24日 (土)
NHKドラマ「男たちの旅路」第4部 第3話 「車輪の一歩」が放映された。
この番組はゴダイゴ結成前からミッキー吉野グループが担当していた。
この回が含まれる第4部は、ゴダイゴのブレイク後である1979年放映であり、特にこの回はゴダイゴの曲がフィーチュアされている。
ラストの場面では、同年6月25日にリリースされたゴダイゴのアルバム「OUR DECADE」より、「The Sun Is Setting On The West」がほぼフルコーラスで使用されている。
https://www.youtube.com/watch?v=H0syBw4KZMU
また、劇中では、斉藤洋介がガンダーラを唄う場面も出てくる。
https://www.youtube.com/watch?v=16FvV2CIkqc
(高崎勇輝)
深夜の音楽番組「79 サウンズ クリエーション (JUN SOUNDS CREATION)」(東京12チャンネル(現:テレビ東京))にゴダイゴが出演した。
この番組は79年4月1日から始まった公開録画式のスタジオ・ライヴの番組だった。
演奏曲目は
演奏のクオリティ・カメラアングル等の演出共に素晴らしく、白熱したプレイだった。
ゴダイゴ・ホーンズは4管(Tp×2, Tb, Sax)で、ミッキーの記憶では、
(高崎勇輝)
]]>にっかつ映画「十八歳、海へ」(監督:藤田敏八・主演:森下愛子 永島敏行)が公開された。
音楽監督はチト河内で、パンフレット等でのクレジットでは主題歌:ゴダイゴ 唄:加橋かつみ となっている。
主題歌「十八歳、海へ」はゴダイゴのアルバム「デッド・エンド」A面ラストに収録されている「ラスト・アワー」の日本語版で、挿入歌「夕陽を追って」もゴダイゴの未発表曲である(「Warning」というタイトルで当時のステージで演奏されていた)。
クレジットは、以下のシングル・ライナー裏面の通り、2曲共通で作詞:喜多條忠、奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ 編曲・プロデュース:チト河内となっている。
しかし、「Warning」の記載の通り、B面の「夕陽を追って/Warning」の作詞はトミー・スナイダーらしい。
この2曲は、1979年8月1日に映画のサントラEPとしてリリースされている。
シングルのライナーでも、サブタイトルとして「The Last Hour」「Warning」と表記されている。
このシングルの演奏は後にTALIZMANとなる「木村昇バンド」が担当している。
(高崎勇輝)
(Thanks to "G-Day" Members)
参考文献:
・にっかつ映画「十八歳、海へ」パンフレット
・シングル「十八歳、海へ」(日本コロムビア YX0521-AX)ライナーノーツ
(高崎勇輝)
1978年10月10日(火)
音楽雑誌「ヤングギター」(シンコー・ミュージック刊)主催のロック・ギタリストをフィーチュアしたロック・フェス「Young Guitar Festival " GUITAR WARS in Hibiya"」が、日比谷野外音楽堂で行われた(プロデューサーは同誌の山本隆士)。
出演は、
チャー with ゴダイゴ
Bow-Wow (山本恭司/斎藤光浩 他)
山岸潤史
高中正義グループ
クリエイション (竹田和夫/森園勝敏 他)
金子マリとバックスバニー (永井充男 他)
という豪華なラインナップだった。
この時の様子は、「ヤングギター」1978年12月号でレポートされている。
記事内ではやはりギタリストがフィーチュアされていて、浅野孝已がブラウン・サンバーストのグレコのストラトを弾く写真が2枚掲載されている。
この時の演奏が、78年夏に活動した、所謂 "チャー with ゴダイゴ"の最後の演奏である。
楽屋にはルイズルイス加部が来ており「こんどチャーとハード・ロック・バンドをつくるんだ。」と言っていたと、当日司会を務めた近田春夫が雑誌のレポートで語っている。
78年8月の武道館でのライブと同様、セットリストにはかなりのゴダイゴのナンバーが含まれてる(2/4/5/6/10)。
しかも、4〜6はゴダイゴ単独の演奏である。
01. Tokyo Night
02. Monkey Magic
03. Tomorrow Is Coming For Me
04. Somewhere Along The Way
05. Under Under Ground
06. Steppin' Into Your World
07. The Leading Of The Leaving
08. Thrill
09. You Got The Music
10. Celebration
11. Shinin' You Shinin' Day
12. Smoky
この日はMC・演奏共にかなりチャーのテンションは高かったらしい。 特に「シャイニン・ユー〜」の途中では、8月の「24時間テレビ」でのライヴを上回る勢いで観客を煽りまくっていた。
タケカワユキヒデもセレブレイションの前のMCでは「ノッてる?元気ないぞ!ノッてる?!!」等と観客を煽っている。
ミッキー吉野のキーボード・ソロは、ゴダイゴの曲ではまだバランスを意識したプレイだが、アンコールの「スモーキー」ではもう遠慮なしのワイルドなプレイだった。
チャーとゴダイゴの演奏の詳細は、チャーの国内最大級ファンサイトである"TACTFUL WALRUS's Char" (http://www.asahi-net.or.jp/~BZ2S-ASI/ch781010.htm)を参考にさせて頂いている。
(高崎勇輝)
参考文献:
・ 「ヤング・ギター」(シンコー・ミュージック・エンタテイメント) 1978年12月号
・「TACTFUL WALRUS's Char」 (http://www.asahi-net.or.jp/~BZ2S-ASI/ch781010.htm)
1978/04/08〜1978/05/27 コメディー公園通り 娘ひとりにパパ二人
1978/06/03〜1978/08/05 コメディー公園通り 愛1つ恋5つ
1978/10/07〜1979/03/31 コメディー公園通り 新婚7日で子どもが2人
という三部作で、主演はいずれも堺正章・井上順である。
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-16424
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/drama_info.htm?id=43323
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-43326
第一部の「娘ひとりにパパ二人」は音楽 ミッキー吉野で、主題歌の作曲もミッキーが担当している。
上記「テレビドラマ・データベース」では、主題歌は『桜田淳子「娘ひとりにパパ二人」(作詞:雪室俊一、作曲:ミッキー吉野)』となっているが、これは桜田淳子ではなく、娘役で出演している斎藤こずえが歌っている。
ゴダイゴのファンクラブ会報9号によれば、テーマ曲の演奏がゴダイゴで、タケがエレピを弾いており、歌は娘役で出演している斎藤こずえが歌っているとの記載がある。
(高崎勇輝)
参考文献:
・ 「NHKアーカイブス」(https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009041152_00000)
・ゴダイゴ・ファンクラブ会報 9号
・ 「テレビドラマ・データベース」(http://www.tvdrama-db.com/)
ゴダイゴのオリジナル(未発表曲)。初期のステージで演奏されていた。
リード・ヴォーカルはタケカワユキヒデ。
ファンクラブ会報10号の78年3月27日九段会館のコンサートのセットリストではオープニングの「テイク・イット・イージー」に続いて演奏されている。
ゴダイゴでもバンドとしてのデモ・テープがレコーディングされていたが、リリースには至らなかった。
喜多條忠が日本語詞を付け、「夕陽を追って(Warning)」として加橋かつみがレコーディング(編曲・プロデュース:チト河内/演奏:木村昇バンド)して、1979年8月18日公開のにっかつ映画「十八歳、海へ」(監督:藤田敏八・主演:森下愛子 永島敏行)の挿入歌として使用された。
このテイクは、映画の公開に合わせリリースされたサウンドトラック・シングル「十八歳、海へ」のB面に収録されている。
I went to see a man who was a fortune teller
He read my eyes and hands
He told that my future held some stormy weather
I didn’t know what the thing
Warning! Danger ahead!
Warning! Danger ahead!
I see for myself Wow-oh I see for myself
参考文献:
・ゴダイゴ・ファンクラブ会報 10号
東宝映画「ハウス」(大林宣彦監督/出演:大場久美子、池上季美子、神保美喜等)のオリジナル・サウンドトラック・アルバム
リリース:1977年6月25日 日本コロムビア YX-7177
2008年4月10日にディスク・ユニオンのゴダイゴ関連レーベル G-maticsよりCDで復刻された(GMT-002)。
http://diskunion.net/diw/ct/detail/IND1889
同映画は大林監督の「時をかける少女」以前の代表作のひとつで、当時アイドルとして人気絶頂だった大場久美子の出演でも話題を呼んだ・
未だに海外でもカルト的な人気を博している映画である。
https://www.youtube.com/watch?v=Ng_UD7P7p3Y
https://www.youtube.com/watch?v=NN0HVJ5tkIM
ミッキー吉野が小林亜星と共に音楽を担当し、サントラ・アルバムはゴダイゴ名義でリリースされた。
実際にはほとんどインストの曲ばかりでヴォーカルが入るのは3曲だけである。
タケカワユキヒデがヴォーカルをとる「君は恋のチェリー」は、映画の中でゴダイゴがチョイ役で出演するシーンに使われている。
A面
01 ハウス−ハウスのテーマ/Main Theme
02 バギー・ブギー/Buggy Boogie
03 ハングリー・ハウス・ブルース/Hungry House Blues
04 イート/Eat
05 いつか見た夢−ハウスのテーマより/Sweet Dreams or Days Gone By
B面
06 昨日来た手紙−ハウスのテーマより/A Letter in the Past
07 君は恋のチェリー/Cherries were made for eating
08 イート イート/Eat Eat
09 夜霧は銀の靴−ハウスのテーマより/In the Evening Mist
10 西瓜売りのバナナ/Oriental Melon Man
11 イート イート イート/Eat Eat Eat
12 ハウスのふたり−ハウス愛のテーマ/Love Theme
このサントラはゴダイゴのメンバー以外にもセッション・ミュージシャンが起用されている。
91年リリースの「ゴダイゴBOX」のライナーには「前年(76年)から行われていた映画「ハウス」の音楽製作」というくだりがあり、OSTアルバム「ハウス」のライナーの山田順彦のコメントでは映画の撮影前に音楽は全部出来ていたとされている。
ミッキーによれば、1977年初にドラムの浅野良治が脱退した時点ではまだ「ハウスのテーマ」しか出来ていなかったそうで、 2回位のセッションで作ってしまった。 時間的余裕がないため、スタジオでアレンジを練り上げていくのではなくミッキーの書き譜を元にレコーディングしたらしい。
大林監督は音楽を先に録って、みんなに聞かせながら撮っていきたいという希望があったそうである。
「ハウスのテーマ」は、ミッキー吉野(key)/浅野孝已(g)/スティーヴ・フォックス(b)/浅野良治(d) で録音されている。
成田賢はミッキーと同じくグループサウンズ(GS)からニューロックへと進んだミュージシャンで、70年代初は浅野孝已と一緒に活動していたこともある。
ミッキー曰く、ザ・ゴールデン・カップスに入って最初のステージが新宿アシベで、対バンが成田のビーバーズだったとのこと。ビーバーズの後のエモーション在籍時にも良く聴いていたそうである。
しかし本作での彼の参加はミッキーの人選ではなく、「当時町田義人が「戦士の休息」、ジョー山中が「人間の証明のテーマ」と、映画の主題歌でヒットを飛ばしていたため、成田でもヒットを狙いたいというアイディアを日本コロムビアは持っていた」という説と、「作曲の小林亜星の『アストロ・ミュージック』が主導で当時スタジオ・シンガーとしてCMソングを多く歌っていた成田賢が選ばれた」という説の二つがある(ミッキーも成田も今や記憶が定かでないそうである)。
以下のリンクにある《大林宣彦特別番組》 HOUSEサントラ談 第二章 『降臨!ハウスの二人』にミッキー吉野と成田賢が出演しているが、ここで成田はレコーディングで2回歌っただけで、その後ライブ等では一回も歌っていない、と語っている。
何故か、映画のクレジットでは成田の名前が入っておらず、映画館に観に行った成田はショックだったらしい。
「イート」は同時期にステージやラジオのスタジオ・ライヴのみで演奏された未発表曲の組曲「ゴダイゴ号の冒険」の場面展開部分で繰り返し登場する「フライング・ソング」と基本的には同じ曲である。
ジャケットは映画のポスターと同じもので、メルヘンタッチにキッチュな不気味さが加わったなかなか良い出来のものである。ライナーノーツは大林監督、出演者(池上季美子、大場久美子、松原愛、宮子昌代、佐藤美恵子、田中エリ子、神保美喜)、小林亜星、橋本淳、ミッキー吉野、山田順彦(東宝プロデューサー)、小倉洋二(助監督)、阪本善尚(カメラ)のコメントに加え、解説、歌詞、あらすじ等が載っている。
本アルバムからは「ハウスのふたり−ハウス愛のテーマ」(c/w 「ハウス−ハウスのテーマ」)と、「君は恋のチェリー」(c/w「イエス,アイ・サンキュー」)がシングル・カットされている。
「イエス、アイ・サンキュー」はこの映画のエンディングに使用されているが、このサントラ・アルバムには収録されていない。
ミッキー曰く、「イエス、アイ・サンキュー」はこの映画用に作った訳ではないが(サントラは基本的にはトミー来日前にレコーディングされていた)、良い曲が出来たので、生で大林監督に聴かせたら使うことになったらしい。
レコーディングの最後のセッションが「イエス、アイ・サンキュー」、「ハングリー・ハウス・ブルース」の録音と、「ハウスのふたり-ハウス愛のテーマ」のヴォーカルのリテイクで、ちょうどブルース・ハープを成田賢が持っていたので、「ハングリー・ハウス・ブルース」に参加することになったそうである。
(高崎勇輝)
参考文献:
・ OST「ハウス」(日本コロムビア) 1977年 ライナーノーツ
・「15TH ANNIVERSARY GODIEGO BOX」(ゴダイゴBOX) (日本コロムビア) 1991年 ブックレット
・ 映画監督 さびしんぼうのワンダーランド (実業之日本社〈仕事-発見シリーズ(26)〉) 1992年 ISBN 4-408-41071-3
・《大林宣彦特別番組》 HOUSEサントラ談 第一章 『HOUSE in ミッキー吉野』
https://www.youtube.com/watch?v=6nAyeQToL8s
・《大林宣彦特別番組》 HOUSEサントラ談 第二章 『降臨!ハウスの二人』
https://www.youtube.com/watch?v=9ePvDpPenEo
・《大林宣彦特別番組》 HOUSEサントラ談 最終章 『ジャッキー、ポール、Yes, I Thank You…』
https://www.youtube.com/watch?v=58Bs3E6nR88
1976年9月21日 から 11月23日まで1〜10話が放映され、11〜26話は1977年9月20日 から翌年 1月3日までの期間に放映された。
このドラマは、イギリスではなかなかの人気を博し、ヨーロッパでも放映されたらしい。
イギリスでは、2003年に全編DVDで復刻されている。
https://www.amazon.co.uk/Water-Margin-Complete-DVD/dp/B00073I8M2
1977年9月16日(10月15日という説もある) には、このドラマの主題歌が英BBCよりシングル発売され、全英シングル・ヒットチャート(Music week) 最高位 37位まで到達した。
A面はドラマのオリジナル版にも使用されているピート・マック・ジュニアの「夜明けを呼ぶもの」(日本のシングル盤音源と同じもの)が収められている(作詞:水木かおる 作曲:佐藤勝 編曲:馬飼野康二)。
https://www.youtube.com/watch?v=Zx7S4KyOo2A
そして、B面がゴダイゴの英語版である。
上述のBBCシングルのリリースは、Season2としての放映開始に伴うものと思われるが、現在DVDの英語吹替版で確認できるのは、オリジナルのピート・マック・ジュニア版である。
ファンの証言では英国での放映時にゴダイゴの英語版が使われたというものがあるが、現在英国で市販されているドラマDVDでは、(最終回においても)日本語版が使用されているので、現時点ではBBCのテレビシリーズでのゴダイゴ版の使用は確認されていない。
しかし、ゴダイゴはかなり早い時期からこのBBC版水滸伝(The Water Margin)に携わっていた。
76年5月25日には、最初のデモ・テープが制作され、この時に既にゴダイゴ版「水滸伝のテーマ」のあのアレンジはほぼ完成されていた。ミッキーは、76年4〜6月に行われたゴダイゴ、サンハウス、浜田良美(バックにCharがいた)のジョイント・コンサート「ザ・ツアー」にこのテープを持って行き、Charにこれを聞かせたとのことである。
このデモではタケはピート・マック・ジュニアの日本語版シングルの歌詞(作詞:水木かおる)をそっくり歌っている。
シングルでリリースされたゴダイゴ版「水滸伝のテーマ」だが、この演奏部分は1977年の1月〜3月に制作されたものと思われ、リズム・セクションはスタジオ・ミュージシャンが起用されている。
ミッキーによれば、ミッキー吉野(key)・浅野孝已(g)・長岡道夫(b)・鈴木ウータン正夫(d)でレコーディングしたそうである。
そして、77年6月7日付でタケが日本語歌詞で歌っているテイクが存在している。
ここでもタケはピート・マック・ジュニアの日本語版シングルの歌詞を歌っている。
更には、タケがシングル版とは異なる英語歌詞を唄うテレビ用の60秒テイクも存在している(未発表)。
I open my eyes
I see the sun arise
Is there a new day breaking
There is a new sound I hear it's all around
I hear a dream that's awaking
If you'll follow me
You'll be still, be free
And you will find the time will come, Oh!
Yes the time will come!
そして、最終的にはトミーが英語でヴォーカルをダビングしたテイクが正式にゴダイゴ版「水滸伝のテーマ(The Water Margin)」としてリリースされることになったのだ(作詞:奈良橋陽子(水木かおる) 作曲:佐藤勝 編曲:ミッキー吉野)。
https://petitlyrics.com/lyrics/278675
尚、オリジナルのテレビドラマ「水滸伝」(日本テレビ)については、こちらを参照のこと。
http://godiego.rock-jp.com/?month=197310
(高崎勇輝)
1973年10月2日(火)
日本テレビ開局20周年TVドラマ「水滸伝」が放映開始された。
番組の情報は、以下の通りである。
https://ja.wikipedia.org/…/%E6%B0%B4%E6%BB%B8%E4%BC%9D_(197…
http://www.geocities.jp/tairikuryoyuu/ntv-suiko/ntvframe.htm
このドラマは1973年10月2日 から 1974年3月26日まで、26回に渡り放映された。
音楽は、日本映画音楽の大御所 佐藤勝氏で、主題歌も佐藤氏の作曲によるものである。
OPはインストで、EDは唄入りだった。
これはルパンIII世の主題歌で知られるピート・マック・ジュニアが歌っていた。
主題歌は、同じ演奏で歌詞が異なるものが2パターン存在する。
http://www.tudou.com/programs/view/EN18pNVTz_Y/
こちらのビデオには、双方が収められている。
放映時のオープニング・クレジットには作詞:関沢新一・作曲:佐藤勝 と記されていたが、途中から唄:ピート・マック・ジュニアとクレジットが追加された。
1974年1月1日放映の第14話(決戦・祝家荘)より、曲名(夜明けを呼ぶもの)・レコード会社(ポリドール)がクレジットされ、作詞:水木かおる・作曲:佐藤勝と作詞家名が変わっていた(編曲は馬飼野康二)。
上記リンクのビデオの後半でも、歌詞が変わっているので、サントラEP制作時に作詞家が交代したものと考えられる。
第1〜13話で使用された、関沢新一氏の歌詞は以下の通りである。
人生は知れたものさ 上手くいっても
一片の雲のように 流れ去るだけ
泣くな友 泣いたって
昨日は昨日さ 明日じゃない
第14〜26話で使用された、水木かおる氏の歌詞は以下の通りである。
月に吠え 闇に叫ぶ 若い魂
はじかれた胸に深く 刻む傷跡
いつの日か ふるさとに
夜明けの輝きを もう一度
この水木かおる版は、シングル盤でポリドールから1973年にリリースされている(DR1808)。
「夜明けを呼ぶもの(c/w 飾り窓の女)」(作詞:水木かおる 作曲:佐藤勝 編曲:馬飼野康二)
これは東宝ミュージックから2006年にリリースされた「佐藤勝 ソングブック」に収録されている。
http://www.thm-store.jp/cnts/st04-02.html
ドラマ版で歌われているのは、シングル版の4コーラスである。
このドラマは、1976〜77年にイギリスのBBC放送で放映された。
このBBC版については、1976年9月21日の「The Water Margin (BBC) オンエア」を参照のこと。
http://godiego.rock-jp.com/?month=197609